顎顔面矯正(がくがんめんきょうせい)

顎顔面矯正(がくがんめんきょうせい)とは

顎顔面矯正はお子様の顔面(上顎、下顎)の骨の発育不全を是正しバランスよく成長させ、お子様が健康に成長できることを図る矯正方法です。 

顎顔面矯正では、急速拡大装置という特殊な装置を使い、歯だけでなく顎の骨全体を矯正していきます。顎の骨が広がれば、歯は自然と正しい位置へ収まり、美しい歯並びになります。特に、成長段階にあるお子様への顎顔面治療は非常に効果的です。

成長期のお子様の噛み合わせの悪さが見られる場合の原因の多くは顎の成長が悪いことに起因することがほとんどです。歯を抜き、ワイヤーで歯を動かす治療方法では根本的な原因は解決できていません。顎の成長は個人によって大差があるため、それぞれに合った装置と治療が必要です。

上顎の未発達による、体にさまざまな影響

上顎の成長が悪く小さいと鼻呼吸がしづらく、口で呼吸をしてしまいます。その結果、お子さまの健全な成長を妨げてしまうことがあります。

 

上顎の未発達による、体に及ぼす影響としては

1. 細菌やアレルギーの原因物質が体内に入りやすい

鼻呼吸では、鼻腔内にある粘膜で菌やアレルギーの原因物質を吸着しているため、体内には入り込みにくくなっています。しかし、口呼吸の場合は、鼻呼吸よりも多く吸い込んでしまうことになります。

 

2.口の中が乾燥して細菌が繁殖する

口が開いていると乾燥し、細菌が繁殖しやすい口腔内環境ができあがり、虫歯や歯周病などになりやすくなります。

 

3.睡眠障害の原因になる

口呼吸で睡眠を取ると、寝付きが悪くなる、睡眠が浅くなり、またいびきをかくことが多くなります。ひどい場合には、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすこともあります。発育のためにも健康維持のためにも、良質な睡眠は欠かせません。

 

4.鼻の機能低下

口を使って呼吸をすることで、鼻の機能が低下し、副鼻腔炎や蓄膿症といった鼻の病気、あるいは中耳炎になりやすくなってしまいます。

 

5.生活習慣病を引き起こす

口呼吸をしている方は、大人になってから糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高まることがわかっています。

その他にも、集中力や学習障害、運動機能障害があるとも言われています。

顎顔面矯正で正常な体の機能を取り戻しましょう

顎顔面矯正治療をすると、歯並びが美しくなるだけでなく、その他多くの症状の改善が見られます。

改善が見込まれること 

1.永久歯が不正な歯列になる確率が低くなります。

2.上顎が正しく成長し、鼻腔が広がることで鼻呼吸がしやすくなります。

3. 鼻呼吸がしやすくなることにより風邪をひきずらくなります。

4.いびきが改善され、よく眠れるようになります

5.子供の睡眠時無呼吸症候群が改善されます。

6.嗅覚が正常に発達します。

7.上顎の成長不足による中耳炎が改善されます

8.姿勢がよくなります。

顎顔面矯正の方法

顎顔面矯正は正中口蓋縫合(上顎の中央にある骨のつなぎ目)を広げることで、上顎骨の正しい成長を誘導します。

ただし10歳を過ぎると上顎骨の発育が緩やかになりますのでそれまでに治療を行うことが重要です。

なお、痛みを心配される方もいらっしゃるかと思いますが、顎顔面矯正では歯に無理な負担をかけることはありませんので、ほとんど痛みはありません。

また、使い始めの頃は少し異物感がありますが、数日で慣れる方がほとんどで、日常生活に支障は出ません。唾液が多く出る場合も、口腔内の機能が正常に働き始めているサインですので、そのまま使い続けていれば問題ありません。

顎顔面矯正は歯を並べるための土台作りから行いますが、もちろん最終的にはきれいな歯並びが実現します。また、鼻での呼吸がしやすくなる、食べ物を噛みやすくなる、発音しやすくなる、顔のバランスが良くなるなど、たくさんのメリットがあり、矯正後の後戻りがほとんどないというのも大きな特徴です。矯正装置は歯の表側ではなく、内側に装着されますので、治療中に目立つ心配もほとんどありません。

顎顔面矯正を始める年齢について

当院では、お子さまの健全な発育を促すために、できるだけ早い時期に顎顔面矯正を開始することをお勧めしています。

もちろんお子様の治療に対する協力、理解が得られないとできませんので、一般的な歯科治療ができる5歳から6歳から治療を受けるのが望ましいです(個人差はあります)。

女の子は9歳、男の子で10歳前後になると骨の継ぎ目が複雑化し、上顎骨の成長が終わりに近づくため、それよりも前に治療を進めることが改善しやすいと言われています。

治療期間について

顎顔面矯正の装置(急速拡大装置)を装着するのは、1つの装置につき期間は5ヵ月~1年程度(例外もあります)です。

上顎の骨が成長したのちに下顎にも装置をつけ顎の骨格バランスを整えたり、歯並びと噛み合わせを調整したりしていきます。

また、すべての治療が完了しましたら、12歳くらい(永久歯が生えそろう)までは経過観察をしていくことになります。

ワイヤー矯正との違い

成人になってからのワイヤーを使う一般的な矯正治療では、ワイヤーを使って歯を移動させていき、見た目を美しくする「審美的な目的」で行われています。

 

一方で、顎顔面矯正はお子さまの顔面の骨の発育がバランスよく成長するように誘導し、上顎を中心に歯がきれいに並ぶための土台作りから行っていきます。

成人からの矯正では歯並びやかみ合わせを整えることはできても、顎の骨の成長はほぼ終わっているため、発育不全を起こした骨の形まで変えることはできません。

また歯を並べ終えた後に歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を起こしやすいデメリットがあります。

 

顎顔面矯正は、専用の矯正装置を使用し、成長の盛んな時期に顎の骨の成長を助けながら歯を理想的な位置に誘導していくことができるので、健康的で、歯の後戻りが起こりにくい大きなメリットがあります。根本から歯列を治療するには、顎の正しい発達が必要になります。

 

顎顔面矯正は今もまだ進化を続けている治療法です。本当にお子さまの歯並びをしっかりと治してあげたいという方は、ぜひご相談にいらしてください。

顎顔面矯正治療をご検討の方へお願い

◇お子様と矯正治療について、必ずお話をしてきてください。

◇歯磨きが上手にできていないと、矯正治療を開始することができません。保護者の方、お子様の協力が必要です。(矯正治療中は複雑な装置が入り虫歯のリスクが上がるため、歯磨きのスキルを高める必要があるからです。)

◇実際に矯正治療を始めるまで少し時間がかかりますが、安全に治療を進めていく上で必要な期間です。どうぞご理解ください。

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院長プロフィール

原 博志(はら ひろし)

経歴

  • 21年 北海道大学歯学部卒業
  • 26年北海道大学大学院歯学研究科博士課程修了

親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。

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